F1ドライバーの反射神経の素晴らしさを物語るひとつの例としてハンドル(ステアリング)を挙げてみましょう。小さなハンドルには、さまざまな機能のボタンやレバーがついて、コンピュータ化か進み、きわめて複雑な構造になっています。たとえばシフトパドル、クラッチパドルがあります。スタートするときに1速に入れておき、スタート信号を見てパンと放すと、クラッチは自動的につながって加速し始めます。そうしたら、2、3、4、5、6、7という具合に加速して、ハンドルの後ろ側のパドルでシフトアップをしていきます。
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ブレーキ調整もダイヤル式になっていて、前後のブレーキバランスが変えられます。前をもっと利くようにするとか、後ろを利くようにするなど自在に操作できます。レース中の戦略を実践するには、ピット側と無線交信する必要があるので、無線ボタンの操作も重要な役割を果たします。そのほかエンジンの回転数表示や各種セッティングの制御、シャシーの調節などのたくさんのボタンが狭いところに配置されています。ところが、ドライバーは、ヘルメットを被り、コックピットにほぼ寝そべった状態での運転になりますから、ボタンはほとんど見えません。おそらくすべてタッチタイピングのような状態です。しかも高速スピードのなかで自由自在にまるで自分の体の一部のようにボタンやレバーを縦横無尽に操作しているわけですから、これだけをとっても、F1ドライバーのアスリートとしての反射神経の高さに脱帽です。F1のハンドル操作には、相当難しいテクニックが必要と思われますが、逆に言うと、それほど練習を積まなくても、すぐに操作ができてしまうぐらいのずば抜けた反射神経の持ち主しかF1ドライバーのシートには座れないともいえます。